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2018年7月

2018年7月14日 (土)

学校支援事業、第1、2回研修報告

ちばMDエコネットと千葉県との協働事業「ノーマライゼーション学校
支援事業」では、年4回の研修を行っています。
今年度最初の研修は、7月14日(土)、千葉県教育会館でおこない
ました。定員100名の会場が満席になる盛況ぶりでした。

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教職員、保護者、学童指導員、放課後等デイサービスの職員の方など、
さまざまな立場の方が参加され、ニーズの高さがうかがえました。

■第1回 「発達障害を理解するために――小児科医の立場から」
講師:永沢佳純さん
(千葉県千葉リハビリテーションセンター 小児科医
千葉県教育支援委員会 委員)

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アメリカ精神医学会の定めたガイドラインDSM-5において発達障害は
知的能力障害などとともに神経発達障害群に分類されています。
講演ではよく目にする診断として知的能力障害、限局性学習障害、発
達性協調運動障害、注意欠如多動性障害(ADHD)、自閉症スペクトラ
ム障害(ASD)を取り上げ、それぞれの診断基準、障害が疑われるとき
学校生活の中でどのような現れ方をするかなどについて具体的に説明
してくださいました。
説明の中で永沢さんが繰り返されたことのひとつは、障害のあるなしの
境は実は線を引けるものではなく、境界域が存在しているということで
す。
パワーポイントでは境界域が三角形で示され、参加者はそれぞれの障
害において境界域の子どもたちがどのような困り感を持つかを考えなが
らお話を聞きました。
永沢さんは、困っている子どもにはサポートが必要であり、学校の先生
には苦手さが際立っている子どもに早いうちから気づいて、接し方を考
えてほしいと話されました。
学校生活において障害を疑うときについてのお話も示唆に富むもので
した。
読字障害がある子どもは「読めない」とは言わず「読みたくない」「面倒
くさい」と言ったり、必死に隠そうとしたりすることがあるそうです。
学校で、読み、書き、計算ができないと子どもは逃げ場のない辛い状
況に追い込まれがちで、そのようなことにならないよう先生には教え方
を柔軟に考えてほしいと話されました。
ADHDについては、漢方薬も含め薬物治療についても詳しくお話しいた
だきました。
そしてADHDもASDもまずは環境調整が大切であると強調されるとともに、
無理強いをせず、長いスパンで成長をみていくことの大切さを繰り返され
ました。
ASDは、不安が状態を悪化させる要因になります。
学校現場では、まずその子をそのまま受け入れて居場所の安心感を確
保したあと、信頼関係を土台にしてその子にできそうなやり方で少しずつ
やらせることが大事だと思うとのことでした。
永沢さんは、ご自身の体験も交えながら終始子どもの立場に立って話さ
れました。
講演の冒頭に「みなさんが子どもに教えたいと思っていることは何でしょう
か?」という投げかけがありましたが、大人の思い込みが優先して子ども
の無理解につながってしまっていないか改めて自分に問い直す機会となり
ました。                         (佐藤薫)


■第2回 「障害のある生徒の高校進学と高校生活」
講師:皆川眞一郎さん
(元 千葉県立松戸南高等学校 校長)

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皆川さんは2009年4月より3年間松戸南高校の校長を務められ、その間
三部制の設立に尽力されました。
そして、教育相談部の創設、廊下に木製ベンチを配置、夜間部生徒の
図書館利用など、生徒の居場所や活動の確保、教育環境の整備など
学校改革に次々と取り組みました。
初任校から障害のある生徒と関わりがあった皆川さんでしたが、大きな
転機は千葉高定時制に勤務した時に訪れたそうです。
それまでの指導する教師から寄り添う教師へと変わっていったと言います。
生徒と距離を置きただ指導するだけでは生徒はついて来ないことを実感し、
生活を支援し尊重する態勢を取ったそうです。
自動車通学を無制限にしたところ、ダンプカーで通学してきた生徒もいた
とか。
懐の大きさを感じるエピソードですが、生徒も自ずと先生への信頼を深め
ていったことでしょう。

次に県教育庁学習指導課小西さんから、障害のある生徒の高校受験
上の配慮制度について説明していただきました。

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昨年度の配慮・対応は延べ200名近くに及び年々増加しているそうです。
特別配慮申請をすることによる受験上の不利がないこともお話下さいま
した。

続いて、ちばMDエコネットの山田から高校進学で大切なことについてお
話しました。
高校進学についての相談は多く、その中で見えてきたことは、本人の気
持ちを知り、できるだけ希望が叶えられるよう一緒に考えることの大切さ
です。
中学校の協力も不可欠で、合格した事例をいくつか紹介しました。

毎年恒例となったこの研修テーマですが、未だに特別配慮申請が周知
されないのが実情です。
この研修を通して、関係者の理解が進み障害のある子どもたちがより
よい高校進学・生活への一歩を踏み出せるよう願って止みません。
                                   (八十陽子)

<アンケートより>
■第1回
・中2の娘は、今、学校をお休みしていますが、「人と接しながら、安全・
安心が積み重なっていくのは大切なこと」と教えていただき感謝です。
(保護者)
・現在読んでいる本の内容と同様、薬ありきではなく、環境調整からはじ
めるというお話がうかがえてよかったです。(学童保育指導員)
・最後の話で、自分の考えを振り返り、反省させられました。生徒第一
で、自分の考えを押し付けることなく接していきたいと考えます。(高校
教職員)
・障害の診断のお話だけでなく、子ども達の困り感によりスポットが当た
った内容だったので、もっと多くの先生方に聞いて頂きたいと思いました。
今日のお話を学校に持ち帰って、先生や保護者に広めていきたいと思い
ます。
永沢先生の「愛」をたくさん感じました!(中学校スクールカウンセラー)

■第2回
・高校受験時にいろいろと申告することで、配慮していただけることを初
めて知りました。
3部制高校や定時制高校の事が参考になりました。息子にも「ここが良
い」と思える高校を見つけてあげたいと感じました。(保護者)
・高校進学の選択の幅が広がっていると感じました。障害のある子の保
護者の中には、特別支援学校に進むしかないと思っている方が多いよう
に思いますが、たくさんの可能性があること、その子にとってよりよい道
に進めるよう、つなげられるようになっていくと良いと思いました。
(放課後等デイサービス職員)
・保護者から「中学生の子どもが校内で暴れる」等の相談を受けて支援
者として関わる事例がありましたが、学校側が外部の支援を閉ざし、学
校内だけで関わろうとしている状況でした。
精神保健福祉士として、学校・教育に関わることができないか考えてい
ます。(福祉機関職員)

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